会長挨拶

永谷 哲也

神経内視鏡の文化を紐解く 近未来へのメッセージ

第28回一般社団法人日本神経内視鏡学会
会長 永谷 哲也
日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院
腫瘍脳神経外科部長・神経内視鏡センター長
愛知医科大学 脳神経外科 客員教授

この度、第28 回日本神経内視鏡学会を2021 年11 月18 日・19 日(技術認定講習会は20 日)の日程で名古屋市の名古屋駅近隣のウインクあいち(旧愛知県産業労働センター)で開催いたします。伝統ある本学会を担当するにあたり大変な栄誉と共に大きな責任を感じております。

今回、メインテーマを「神経内視鏡の文化を紐解く」とさせて頂きました。紐解くという言葉には歴史を紐解く、という如く「過去の事実を書物から読み取り明らかにする。」といった従来の解釈に加えて、「ものの真実や性質など原理を明らかにする」、との意味も含まれています。第28 回神経内視鏡学会では脳神経外科における内視鏡手術のもつ独自の流儀、考え方、技術(これらを敢えて文化と呼ぶことにしましたが)などについて会員同士で考えたいと考えています。

演題に関しましては会員の先生方から187 題のご応募をいただきました。特にシンポジウムは応募の多かった外視鏡をテーマに加え、セッション「外視鏡 その役割と近未来像」を新たに設けました。これに指定演題を加えて総演題数は219 演題になりました。海外からは招待演者として3 名の方をお招きする予定です。一人目は Allegheny General Hospital (Drexel University College of Medicine) のHae Dong Jho 教授、2 人目はPennsylvania Hospital, University of Pennsylvania のJohn Y.K. Lee教授、3 人目はSamsung Medical Center (Sungkyunkwan University) のDoo Sik Kong 教授です。Jho 教授は誰もが知る神経内視鏡手術の大御所です。ご発表はリモート形式になりますが本会への御参加を快諾して頂きました。ご講演ではJho 先生ご自身が内視鏡手術に関してどのような背景の中で、如何にして方法を見出し、発展、実現させていったのか拝聴できると思います。また、Lee 教授、Kong 教授のお二人は独自の視点から神経内視鏡を導入され新しい低侵襲脳神経外科におけるパイオニア的存在です。お二人にはそれぞれ後頭蓋窩病変への内視鏡アプローチ、海綿静脈洞周辺の病変に対する経眼窩アプローチについての講演を頂く予定です。3 名の先生方にはメインシンポジウムにも参加して頂き議論に加わっていただく予定です。この他にも本会では特別企画3 セッションとIFNE(International Federation of Neuroendoscopy)とのジョイントセッションを設けました。IFNE 側からはHenry Schroeder 先生(ドイツ)、Wan Tew Seow 先生(シンガポール)、Salman Sharif 先生(パキスタン)、Adrian Caceres 先生(コスタリカ)にご講演を頂く予定です。また、19 日の後半には最新のモデルを使い「脳室・頭蓋底ハンズオンセミナー」を開催します。

 我々は査読の段階でいずれの応募演題も素晴らしい内容であり、すべての抄録から会員の先生方の熱意が伝わってくる事を実感いたしました。今回、サブテーマを「近未来へのメッセージ」としましたが、どの演題もまさに近未来へのメッセージに相応しい内容と期待しております。本会での発表、議論が次世代を担う脳神経外科医への動機づけのメッセージとなることを祈念してご挨拶とさせていただきます。

本会の開催に際しましては新型コロナウイルス感染症の近況を鑑み、昨年に引き続き、現地、ライブ配信の同時開催形式といたしました。現在、プログラム委員一同鋭意準備を進めております。同時にできる限り多くの会員の皆様とお会いできることを楽しみに秋深まりつつある名古屋でお待ちしております。

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